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2013年3月10日日曜日

ロミオとジュリエット

『ロミオとジュリエット』(または『ロメオとジュリエット』、Romeo and Juliet )は、ギリシャ神話の『ピュラモスとティスベ』(『桑の木』)を元にしたイングランドの劇作家ウィリアム・シェイクスピアによる戯曲。初演年度については諸説あるが、概ね1595年前後と言われている。

『ロミオとジュリエット』は悲劇とされ、シェイクスピア死後に刊行された全集(後述の「第一・二折本」)の分類も同じであるが、四大悲劇(『ハムレット』、『マクベス』、『オセロ』、『リア王』)のような重厚な悲劇とは見なされていない。

後年のシェイクスピアの悲劇では、登場人物の性格が悲劇を引き起こすという顕著な特徴が見受けられる。これに対しロミオとジュリエットでは、登場人物の性格よりも、周囲の状況や偶然などの「運命」と呼ぶべきものが、両者や周囲を悲劇的結末へと導いていく。

また、テキスト中には過剰なまでの冗談や乱暴な語句、猥談的やりとりが見受けられ、ファルス(卑俗的笑劇)としての要素が、シェイクスピアの他の悲劇作品よりも明らかに強い。

なお、現在は「ロミオとジュリエット」の表記が一般的であるが、かつてはもっぱら「ロメオとジュリエット」と表記されていた。そのため、映画の邦題では日本公開年によって表記が異なっている。また、クラシック音楽およびバレエの分野では、現在でも慣習的に後者の表記が用いられている。英語の発音上は前者の方が近いが、必ずしも正確というわけではない。

フォード・マドックス・ブラウンによる絵画「ロミオとジュリエット
ヴェローナのジュリエットのバルコニー

ストーリー
舞台は14世紀のイタリアの都市ヴェローナ。ヴェローナは、1239年に神聖ローマ帝国の皇帝フリードリヒ2世の協力を得て、近隣のロンバルディア同盟諸国を征服し、その絶頂期にあったが、ローマ教皇グレゴリウス9世はフリードリヒ2世を反キリストであると非難して近隣ロンバルディア同盟諸国を擁護し、再破門したことから戦争となり、以来ヴェローナの支配層は教皇派と皇帝派(ゲルフとギベリン、英: Guelphs and Ghibellines)に分かれて熾烈な争いが繰り広げられるようになった。皇帝派(ギベリン、英: Ghibellines)のモンタギュー家(モンテッキ家)と教皇派(ゲルフ、英: Guelphs)のキャピュレット家(カプレーティ家)も、血で血を洗う抗争を繰り返すことに巻込まれていた。

モンタギュー家の一人息子ロミオは、ロザラインへの片想いに苦しんでいる。気晴らしにと、友人達とキャピュレット家のパーティに忍び込んだロミオは、 キャピュレット家の一人娘ジュリエットに出会い、たちまち二人は恋におちる。 二人は修道僧ロレンスの元で秘かに結婚。ロレンスは二人の結婚が両家の争いに終止符を打つきっかけになる事を期待する。

しかし、その直後、ロミオは友人と共に街頭での争いに巻き込まれ、親友・マキューシオを殺されたことに逆上したロミオはキャピュレット夫人の甥ティボルトを殺してしまう。 ヴェローナの大公エスカラスは、ロミオを追放の罪に処する。一方、キャピュレットは悲しみにくれるジュリエットに大公の親戚のパリスと結婚する事を命じる。

ジュリエットに助けを求められたロレンスは、彼女をロミオに添わせるべく、仮死の毒を使った計略を立てる。 しかし、この計画は追放されていたロミオにうまく伝わらなかった。そのため、ジュリエットが死んだと思ったロミオは彼女の墓で毒を飲んで死に、 その直後に仮死状態から目覚めたジュリエットもロミオの短剣で後を追う。事の真相を知り悲嘆に暮れる両家は、ついに和解する。
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ジョン王

《筑摩書房》シェイクスピア 北川梯二ほか訳シェイクスピア全集4 史劇1 ジョン王ほか 【中...

『ジョン王』(ジョンおう、King John)はウィリアム・シェイクスピアの歴史劇である。正式な題名は『ジョン王の生と死』(The Life and Death of King John)という。英国史上最も悪評の高い王であるイングランド王ジョン(在位1199年 – 1216年)を主人公としている。 シェイクスピアの『ジョン王』は、それ以前の1589年頃に書かれた『ジョン王の乱世』という劇と密接な関係を持っている。シェイクスピアが『ジョン王の乱世』を材源かつ雛形としたことは、現代の研究者たちの間でコンセンサスが得られている[1]。しかし、逆にシェイクスピアの作品が先だったという意見もある。 1590年代中頃に、シェイクスピアが初期のヴァージョンを改訂したと信じる評論家もいる。他にも、『ジョン王の乱世』がシェイクスピアの作品であるという説、あるいは「悪い四折版(Bad quarto)」だとする説、初期の上演に関わった1人ないしはそれ以上の役者たちが記憶から復元したもの(Memorial reconstruction)だとする説もある。 ラファエル・ホリンシェッド(Raphael Holinshed)の『年代記』、ジョン・フォックス(John Foxe)の『殉教者列伝(Foxe's Book of Martyrs)』、マシュー・ペリーの『Historia Maior』も材源になった可能性がある。 あらすじ 正統な王位継承者であるアーサーに代わってイングランド王になったジョンに対し、アーサーの母コンスタンスはフランス王に援助を求め、戦争になろうとする。しかし、ジョン王とフランスのフィリップ王はお互いの利益から和解し、アーサーはイングランドに連れて行かれることになり、コンスタンスは半狂乱になる。 しかし、カンタベリー大司教任命に伴う諍いで、ジョン王はローマ教皇から破門され、フランスは平和協定を破って、イングランドを攻撃する。 ジョン王は年若いアーサーの目を潰そうと腹心のヒューバートを幽閉先に遣わせる。しかし、アーサーの懇願で、ヒューバートはアーサーを死んだことにして助ける。 国内の貴族たちはジョン王がアーサーを殺したと聞き、フランス側につこうとする。ジョン王は手を下したヒューバートを激しくなじるが、ヒューバートから真相を聞かされほっとする。しかし、アーサーは自ら命を絶ってしまう。 追い詰められたジョン王はやむなく教皇に屈服し、その直後、病死する。

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リチャード三世

『リチャード三世』(リチャードさんせい King Richard III)は、イギリスの劇作家ウィリアム・シェイクスピア作の史劇。正式なタイトルは『リチャード三世の悲劇』(The Tragedy of King Richard the Third)。初演は1591年。 タイトルロールのリチャード三世は狡猾、残忍、豪胆な詭弁家であり、シェイクスピア作品の中ではハムレットと並んで演じ甲斐のある役とされている。 怪異な容貌と鬱屈した野心のため嫌われ、恐れられつつも巧みに人を惹きつける男の一生を描いている。彼の野望の犠牲となり親を失った子、夫を亡くした妻、子供に先立たれた親の嘆きから、不幸の底にある者でさえ他人の不幸がわからない密やかなエゴイズムが劇中に映し出されていく。
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いわき地域は古代、海の中にあり、地盤や地殻の変動により海と陸を繰り返し、水陸の生き物の化石が多数出土。海水が地中に閉じ込められ、現在、太平洋の海水や雨水などの循環水と混合され、ユーラシア大陸プレートと太平洋プレートのプレート運動の摩擦を熱源として温泉となり、湧出しているそうです。
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●現代版湯治のすすめ
日本には、古来より温泉地に2~3週間滞在し、農作業で酷使された体を温泉に浸かりゆっくりと休める、湯治の文化があります。 現代人の日常生活のストレスなどで乱れた、自立神経系・内分泌系・免疫系を温泉地保養の生体調整作用により、自然治癒力を高めていきましょう。


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2013年3月9日土曜日

ヘンリー六世 第3部

『ヘンリー六世 第3部』(ヘンリーろくせい だいさんぶ、The Third Part of King Henry the Sixth または Henry the Sixth, Part 3)は、ウィリアム・シェイクスピアの史劇で、1590年頃の作と信じられている。イングランド王ヘンリー六世の時代が舞台で、書かれた順番ははっきりしないが、『ヘンリー六世 第1部』、『ヘンリー六世 第2部』の続編で、シェイクスピアの代表作にして問題作の『リチャード三世』に繋がる作品である。

『ヘンリー六世』三部作の中では最も優れていて、感動的なドラマを作りあげるシェイクスピアの才能の証拠であると言われている。その中でも、特筆すべきは以下の場面である。
第1幕第4場 - 幼い息子の血で染まったハンカチで涙を拭えと言う残忍な王妃マーガレットに対するヨーク公の激しい非難(「O tiger's heart wrapp'd in a woman's hide!(おお、女の下に隠された虎の心!)」)。それに続く、マーガレットとクリフォード卿によるヨーク公への拷問のような罵りとその末の殺害。
第2幕第5場 - 戦争で我が子を殺した父と、その逆に父親を殺した息子の嘆きを耳にして、戦争の悲惨さと王の試練に苦悶するヘンリー六世。
第5幕第5場 - 復讐のため息子を目の前で惨殺された王妃マーガレットの悲痛さ。
第5幕第6場 - ヘンリー六世の劇的な最期。
第3幕第2場 - 上記のシリアスさとうってかわって、好色なエドワード四世が人妻を口説く滑稽なシーン。後のシェイクスピアのロマンティック・コメディを暗示させる。

前2作同様、『ヘンリー六世 第3部』は、ホールやホリンシェッドの年代記といった歴史的文献を元にしているが(詳細は後述)、ドラマのために事件を潤色・圧縮・変更している。とくにのちのリチャード3世、グロスター公リチャードは歴史を歪め、劇的に、奇怪なマキャヴェリストとして、歴史上の人物あるいは人間というよりも歴史のメカニズムの代弁者として描いている。さらにリチャードは劇の登場人物ならしめるために実際の年齢より相当加齢させているが、これはルネサンス期の史劇ではよくあることだった。

あらすじ
第1幕
劇はヨーク公リチャードと現イングランド王ヘンリー六世、ならびにそれぞれの支持者たちの対面で幕を開ける。ウォリック伯リチャード・ネヴィルの武力行使も厭わぬ脅迫で、ヘンリー六世はヨーク公を王位継承者にすると約束する。その臆病さに失望して、ヘンリー六世は支持者たちからも見放される。王妃マーガレット・オブ・アンジューはこの約束に同意できないと明言し(第1場)、若きクリフォード卿たち、息子である皇太子エドワードの助力を得て、ヨーク家軍に宣戦布告する。(第2場)

ウェイクフィールドの戦い(1460年)でヨーク家軍は敗れる。クリフォード卿がヨーク公の幼い息子(実際は17歳で戦いにもフルに参加していたのだが)ラットランド伯を殺害するくだりは、シェイクスピアの作品の中でも血生臭く胸が引き裂かれるような場面の一つである。(第3場)

さらにマーガレットとクリフォード卿はヨーク公を愚弄したうえに殺害する。(第4場)

第2幕
ウォリック伯とヨーク公の長男エドワードらは、タウトンの戦い(1461年)でマーガレットの軍に報復し、クリフォード卿は戦死する。戦いの後、エドワードは王エドワード四世を宣言し、ジョージをクラレンス公、リチャードをグロスター公にする。リチャード(のちのリチャード三世)はシェイクスピア劇の有名な悪役の一人で、その徴候をうかがわせるが、実際にはこの戦いの当時、まだ10歳にもなっていなかった。(第3場 - 第6場)

第3幕
ウォリック伯はフランス王の妹をエドワード四世の妃にもらおうとフランス王宮に行く。そこにはマーガレットと皇太子エドワードがいてフランスに援軍を頼んでいるところだった。しかし、エドワードがレディ・グレー(エリザベス・ウッドヴィル)と結婚したと聞かされて、ウォリック伯はエドワード四世を見限って、マーガレットと和解し、娘を皇太子エドワードに嫁がせることにも同意する。(第3場)

第4幕
ウォリック伯のもう一人の娘は、仲間になったクラレンス公に嫁がせることにする。(第1場)

ウォリック伯たちの侵攻は成功し、エドワード四世を捕虜とするが(第2場)、すぐに弟リチャードと忠実なヘイスティングス卿により救出される(第5場)。

ヘンリー六世は再び王に復位し、ウォリック伯とクラレンス公を摂政に任命する。そこにエドワード四世逃亡の報せが届き、ジョン・オブ・ゴーントの子孫でランカスター家の相続人たりうる若きリッチモンド伯(のちのイングランド王ヘンリー七世)は身の安全のためフランスに船で亡命する。(第6場)

第5幕
バーネットの戦い(1471年)でエドワード四世はウォリック伯を打ち負かし、ウォリック伯は戦死する。(第2場)

続くテュークスベリーの戦いでは、エドワード四世は皇太子エドワードを殺害し、王妃マーガレットを捕虜とする。(第5場)

ひそかに王の座を狙うグロスター公リチャードは、その手始めにロンドン塔に幽閉されていたヘンリー六世を暗殺する。この時、ヘンリー六世はリチャードの極悪非道な生涯と未来の汚名を予言する。(第6場)

劇はヨーク家の輝かしい勝利で終わる。エドワード四世には息子も生まれる。ランカスター家の者は殺されるか追放するかする。リチャードだけがまだ続きがあることを知っている。(第7場)
 

ヘンリー六世 第2部

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シェイクスピアが『ヘンリー六世 第2部』で主に材源にしたのは、ラファエル・ホリンシェッド(Raphael Holinshed)の『年代記(Chronicles)』(1587年出版の第2版)で、それが劇に「terminus ad quem(目標)」を与えた。エドワード・ホール(Edward Hall)の『ランカスター、ヨーク両名家の統一(The Union of the Two Illustrious Families of Lancaster and York)』(1542年)も参考にしたようで、研究者たちは他にも、サミュエル・ダニエル(Samuel Daniel)の薔薇戦争を題材とした詩にシェイクスピアは通じていたのではと示唆している。

あらすじ
第1幕
イングランド王ヘンリー六世と若きマーガレット・オブ・アンジューの結婚から劇は始まる。マーガレットはサフォーク公ウィリアム・ドゥ・ラ・ポールの「protégée(被保護者)」(おそらく愛人)で、サフォーク公はマーガレットを通じてヘンリー六世に影響を与えようと企んでいる。(第1場)

その邪魔になるのが国民に人気のある摂政のグロスター公ハンフリーで、王妃マーガレットはグロスター公爵夫人エリナーと宮廷で優位を競い合う。エリナーはサフォーク公の密偵によって魔術に首を突っ込み(第2場)、その後逮捕される(第4場)。しかし、エリナーが召喚した悪霊はこの劇の登場人物3人の運命を予言し、それは不幸にもことごとく的中することになる。

第2幕
ヨーク公リチャードはソールズベリー伯とウォリック伯に自らの王位の正統性を打ち明け、二人の伯はヨーク公の支持を誓う。(第2場)

第3幕
グロスター公は、反逆罪で訴えられ、逮捕される。一方、ヨーク公リチャードは、アイルランドの反乱を鎮圧する軍の指揮官に任命される。ヨーク公は、この機会を利用しようとする。元・士官のジャック・ケイドに王国全土を脅かす乱を起こさせ、その鎮圧を名目にアイルランドにいる軍を率いて、イングランドに戻り、王座を手に入れようと計画する。(第1場)

サフォーク公は殺し屋たちを使ってグロスター公を暗殺する。しかし陰謀がばれ、サフォーク公は追放され、マーガレットは悲しむ。(第2場)

第4幕
悪霊の「水によって彼は死ぬだろう(by Wa'ter shall he die)」という予言通り、サフォーク公は海賊のウォルター(Walter)に殺害される。(第1場)

マーガレットはサフォーク公の血まみれの首を膝に抱き、悲しむ。(第5場)

第5幕
ヨーク公は軍を引き連れてイングランドに戻ったが、ケイドの乱は既に鎮圧されていた。口実を失い、ヨーク公は軍を連れて戻ったのはヘンリー六世をサマセット公から守るためだと弁明する。しかし王妃マーガレットとクリフォード卿の反論に遭い、ヨーク公は王位の正統性を主張し、息子のエドワード(未来のイングランド王エドワード四世)とリチャード(未来のイングランド王リチャード三世)もそれを支持する。(この時リチャードはまだ子供で戦闘では簡単に負かされたという歴史的正確さを無視したのは、シェイクスピアがリチャード三世を大悪役に構築しようとしたからである)。(第1場)

イングランドの貴族たちは二派に分かれてセント・オールバーンズの戦いを始める。サマセット公は未来のリチャード三世に殺され、クリフォード卿はヨーク公に殺される。クリフォード卿の息子はヨーク家側への復讐を誓う。(第2場)

ヘンリー六世はロンドンに撤退し、ヨーク家軍が追撃するところ(第3場)で劇は終わり、『第3部』に続く。
 

ウィリアム・シェイクスピア ヘンリー六世 第1部

ヘンリー六世 第1部
シェイクスピアが『ヘンリー六世 第1部』で主に材源にしたのは、ラファエル・ホリンシェッド(Raphael Holinshed)の『年代記(Chronicles)』(1587年出版の第2版)で、それが劇に「terminus ad quem(目標)」を与えた。エドワード・ホール(Edward Hall)の『ランカスター、ヨーク両名家の統一(The Union of the Two Illustrious Families of Lancaster and York)』(1542年)も参考にしたようで、研究者たちは他にも、サミュエル・ダニエル(Samuel Daniel)の薔薇戦争を題材とした詩にシェイクスピアは通じていたのではと示唆している。

1588年のアルマダの海戦でスペイン無敵艦隊を破って以来、イングランドの愛国心は頂点に達した。この愛国心が観客の史劇への関心を高めることになった。

あらすじ
第1幕
先のイングランド王ヘンリー五世の死の余波から劇は始まる(しかしシェイクスピアの『ヘンリー五世』が書かれるのは後のことである)。そこにフランスでのイングランド軍の軍事的敗北の報せが届く(第1場)。

舞台はイギリス海峡を越えて、フランスのオルレアンに移る。乙女(ジャンヌ・ダルク)が皇太子に抗戦を訴える(第2場)。乙女はタルボット卿率いるイングランド軍を打ち負かす(第5場)。

第2幕
タルボット卿とその仲間たちはオーヴェルニュ伯爵夫人の城で罠にかかるが、あらかじめ罠を見抜いていたタルボットは伯爵夫人の裏をかく(第3場)。

一方、イングランドではリチャード・プランタジネットがサマセット公と口論している。二人はどちらの主張が正しいかを示すため、それぞれ赤薔薇と白薔薇を選ぶ。(第4場)

王位を主張するエドモンド・モーティマーはロンドン塔に幽閉されている。モーティマーはリチャードが自分の相続人だと宣言する。(第5場)

第3幕
若いヘンリー六世は叔父で摂政のグロスター公と大叔父のウィンチェスター司教との不和に悩んでいる。一方で、リチャードの名誉を回復し、ヨーク公に叙する。(第1場)

第4幕
ヘンリー六世が無心に赤薔薇を選んだことで、サマセット公とヨーク家の対立は深まる。(第1場)

その結果としてタルボット卿とその息子ジョンがフランス軍との戦いで命を落とす。(第7場)

この対立は後には、赤薔薇のランカスター家と白薔薇のヨーク家の薔薇戦争を引き起こすことになる。

第5幕
ヘンリー六世は、戦争をすみやかに終わらせたい教皇や他国の圧力を受け、アルマニャック伯の娘との結婚に同意する。(第1場)

ヨーク公はアンジェでイングランド軍を勝利に導き、ジャンヌを捕らえる。一方、サフォーク伯は捕虜にしたマルグリット(マーガレット)・ダンジューに恋してしまう。(第3場)

ジャンヌは火あぶりの刑に処せられることが決まった後、ウィンチェスター司教が到着し、ヨーク公とフランス皇太子シャルルに休戦の条件を伝える。二人は不満だったが、条件を受け入れ、シャルルはヘンリーの下で副国王の地位に就く。(第4場)

サフォーク伯はヘンリー六世とマルグリットの結婚を取り決める。マルグリットを通じてヘンリー六世を支配しようと企んでのことだった。(第5場)

劇の終わりには結論部が欠けている。締まりの悪い構成は(上述した)合作の結果かも知れないし、続編の『ヘンリー六世 第2部』と相前後して書かれたせいなのかも知れない。