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2016年3月11日金曜日

PC-Triple C 音響用導体 特許第5871985

PC-triple C の特徴
PC-Triple C 音響用導体 特許第5871985 
使用導体はOFC(無酸素銅/酸化物を含まない純度の高い銅)。
通常のOFCではなく、独自の鋳造方法(鍛造)を用いて、不純物が付着した数ミクロン単位の極微な異物までも除去した古河電工の高純度無酸素銅を使用。

一般的に言われているOFCには大きな不純物が含まれている事がありますが、PC-Triple Cミクロン単位の異物を全部取り除いたOFC。

銅というのは、内部に異物があると、そこに他の不純物が付着してしまいます。それを取り除く事で、銅の結晶構造における純度をアップさせたものです。あえて不純物を入れて異物を付着させ、銅結晶の純度を上げるという方法もありますが、純度が上がったとしても、異物が結晶粒界に残っていてはならない、それを取り除かなければいけないというのが基本的な考え方です。

不純物が少ないと良いと言う理由は、ケーブルで使う導体にするために、銅素材を引き伸ばす際に、より細く引き伸ばせる。
引き伸ばした際に、内部に異物が入っていると、そこで破断してしまう。つまり“細引きできる事 = 異物が少ない証拠。

通常のOFCでは、0.05mm径くらいまでしか細引きできませんが、PC-Triple Cに使用されるOFCでは、0.015mm程度まで引く事ができます。

使っている素材に加え、もう1つの特徴が、特殊な加工方法である「定角連続移送鍛造法」。
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鍛造処理をする前の導体断面。結晶構造と粒界が電流の流れに対して縦方向に並んでおり、スムーズに流れない。

上の画像は、鍛造処理をする前の銅の断面を撮影したもの。縦方向に、模様が無数にあるが、これら1つ1つが銅の結晶。結晶が縦に並んで、全体が構成されているのがわかる。この結晶と結晶の境目が結晶粒界。
例えば、左から右へと電流が流れるとして、結晶粒界があると、流れにくくなってしまう。また、異物が混入する“隙間”にもなる。

PC-Triple Cでは、この縦方向に結晶が並んだ銅素材に、一定の角度と方向を持たせた状態で、50%まで小圧力で数万回連続鍛造するのが定角連続移送鍛造法。

定角連続移送鍛造法
一度に強い力で叩くと、当然ながら結晶はグシャッと潰れてしまう。しかし、力のかけ方&回数で叩く事で、結晶構造が横に“寝る”カタチになる。こうする事で、結晶粒界に阻害されず、信号が流れやすくなる。

また、細く引き伸ばす際にも、良い影響がある。
例えば鉄などを引き伸ばすと、ある程度の細さになると、表面がボコボコになります。これは内部の結晶粒が飛び出してしまうためです。そうすると、細引きはできません。
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鍛造処理をする前の導体断面 一定方向に連続鍛造していく事で、結晶と粒界が横方向に伸延されているのがわかる 50%(Sq比)まで鍛造した後の断面。結晶構造と粒界が細分化され、横方向に綺麗に並んでいるのがわかる。この状態になると電流がスムーズに流れるという
定角連続移送鍛造法を用いた銅の結晶粒界は、言わばパイ生地が層になった「ミルフィーユ」のような状態。
ここからさらにケーブル細線へ伸延加工を施し、使用される導体の太さにより、特定の温度、時間管理により焼鈍(アニール処理)される。この工程により、銅結晶の結晶同士が融着。連続した結晶へと変化していく。
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伸線後の導体断面。結晶同士が融着し、連続した結晶のように変化しているのがわかる。

このような状態になる事で、単結晶のPCOCCと理論上は変わらないほどの導電特性を実現できるとする。1.3mm径のアニール材の状態で、導電率は101.5 IACS%。純度は99.996%以上。

“PC-Triple Cならではの利点”
PC-Triple Cには、融着しても結晶粒界は存在しているため、導体の震動を結晶粒界が吸収してくれる。

開発会社: FCM 株式会社
販売会社:株式会社 プロモーションワークス
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