人気の投稿

ラベル オーディオ用導体 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル オーディオ用導体 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015年5月24日日曜日

オーディオ用導体

オーディオ導体ランク
■PC-Triple C

「PC-Triple C」の特徴は大きく2つある。

1つは、使用している素材だ。使われているのはOFC(無酸素銅/酸化物を含まない純度の高い銅)だが、通常のOFCではなく、独自の鋳造方法を用いて、不純物が付着した数ミクロン単位の極微な異物までも除去した古河電工の高純度無酸素銅を使っている。これはPCOCCで使われてた素材よりも、さらに純度が高いものだという。

「世間一般で言われているOFCには大きな不純物が含まれている事がありますが、我々が使っているのはミクロン単位の異物を全部取り除いたOFCです。銅というのは、内部に異物があると、そこに他の不純物が付着してしまいます。それを取り除く事で、銅の結晶構造における純度をアップさせたものです。あえて不純物を入れて異物を付着させ、銅結晶の純度を上げるという方法もありますが、純度が上がったとしても、異物が結晶粒界に残っていてはならない、それを取り除かなければいけないというのが我々の基本的な考え方。

不純物が少ないと何が良いのか、芥田氏によれば、ケーブルで使う導体にするために、銅素材を引き伸ばす際に、より細く引き伸ばせるという。飴細工などを想像するとわかりやすいが、引き伸ばした際に、内部に異物が入っていると、そこで破断してしまう。つまり“細引きできる事 = 異物が少ない証拠”だという。「通常のOFCでは、0.05mm径くらいまでしか細引きできませんが、我々が使っているOFCでは、0.015mm程度まで引く事ができます」(芥田氏)。

使っている素材に加え、もう1つの特徴が、特殊な加工方法である「定角連続移送鍛造法」を用いている事だ。

鍵となる“定角連続移送鍛造法”とは?
一度に強い力で叩くと、当然ながら結晶はグシャッと潰れてしまう。しかし、試行錯誤の末に導き出した力のかけ方&回数で叩く事で、結晶構造が横に“寝る”カタチになる。こうする事で、結晶粒界に阻害されず、信号が流れやすくなるというわけだ。

また、細く引き伸ばす際にも、良い影響があると芥田氏は言う。「例えば鉄などを引き伸ばすと、ある程度の細さになると、表面がボコボコになります。これは内部の結晶粒が飛び出してしまうためです。そうすると、細引きはできません。こうならないように、叩いて結晶を横にできるのではないかというアイデアが浮かび、ある機械に細工をして、叩いてみる事にしました。どの程度まで叩けばいいのか、やり過ぎると潰れてしまうので、試行錯誤しながらその加減を探っていきました」という。
鍛造処理をする前の導体断面 一定方向に連続鍛造していく事で、結晶と粒界が横方向に伸延されているのがわかる 50%(Sq比)まで鍛造した後の断面。結晶構造と粒界が細分化され、横方向に綺麗に並んでいるのがわかる。この状態になると電流がスムーズに流れるという

定角連続移送鍛造法を用いた銅の結晶粒界は、言わばパイ生地が層になった「ミルフィーユ」のような状態だ。ここからさらにケーブル細線へ伸延加工を施し、使用される導体の太さにより、特定の温度、時間管理により焼鈍(アニール処理)される。この工程により、銅結晶の結晶同士が融着。連続した結晶へと変化していく。矢口社長はこれを「言わばバームクーヘンのような状態」と表現する。

このような状態になる事で、単結晶のPCOCCと理論上は変わらないほどの導電特性を実現できるとする。1.3mm径のアニール材の状態で、導電率は101.5 IACS%。純度は99.996%以上だ。

伸線後の導体断面。結晶同士が融着し、連続した結晶のように変化しているのがわかる

PC-Triple CにはPCOCCを超える利点も
ここまでは、PCOCCに匹敵する導電特性を実現するための工夫だ。だが、矢口社長はPCOCCを超える“PC-Triple Cならではの利点”もあるという。

「PCOCCの単結晶と、PC-Triple Cの構造は違いますが、長手方向に信号が流れる能力としては同程度と考えています。一方で、PCOCCのような単結晶の場合、“ケーブル自体の振動”を吸収する余地が、導体に無いという問題があります。そのため、PCOCCはハイ上がりの音だと言われてきました。しかし、PC-Triple Cには、融着しても結晶粒界は存在しているため、導体の震動を結晶粒界が吸収してくれるという考え方もあります」(矢口社長)。

つまり、PCOCCよりも、PC-Triple Cは、導体自体の音が素直なサウンドである可能性があるわけだ。

「PCOCCでは、例えば中央の導体に6Nを使い、外側にPCOCCを巻いて2層にしたケーブルを作り、中低域を真ん中の6Nで通し、高い音を表皮効果を使ってPCOCCで通す事で、ワイドレンジな音を出すといった、ケーブル設計のテクニックがあります。そういったケーブル設計時の使いこなしも、PC-Triple Cでは変わってくるでしょう。とはいえ、PC-Triple Cがどのような音なのかは、オーディオファンの皆さんに判断して欲しいと考えています。電気的な事だけで語れないのが、ケーブルの面白いところですから」。


■PCOCC アズキャスト
完全なる単結晶の高純度無酸素銅。
鋳造され、機械的及び熱的ストレスを受けずに製造された、裸線です。


■PCOCC

「Pure Cupper Ohno Continuous Casting Process」の略。「単結晶状高純度無酸素銅」と訳される事も多い。これまで製造してきた古河電工では、「一方向性凝固組織の特徴を持つ高純度銅線」
“Ohno”とは、開発者の大野篤美教授の名前。

通常、銅は細かな結晶が集まって構成されているが、特殊な鋳造を行なう事で、“単結晶”にしているのが特徴となる。これにより、信号が伝送される方向に結晶粒界(結晶と結晶の境目)が無く、導電特性が優れた、信号が流れやすい素材になる。結晶と結晶の境目が無いので、不純物が入り込みにくいというのも利点の1つ。

■PCOCC-A
Pure Cupper Ohno Continuous Casting Annealing treatment
単結晶状高純度無酸素銅を加熱(アニール処理)し、多結晶化した導体。簡単に言うと単結晶の導体なので、多結晶化しても不純物の少ない無酸素銅。

■LC-OFC

線形結晶無酸素銅(英名:Linear Crystal Oxygen-Free Copper、以下LC-OFC)は1980年代頃に旧:日立電線株式会社によって製品技術の発表がされた音響用途向けの無酸素銅である。銅純度は99.996%以上で酸素含有量は10ppm以下(日本工業規格JIS H 2123『型銅』規定C1011-C1相当)を満たすとされている。LC-OFCは銅結晶を大きく成長させることによって結晶境界に起きる信号伝達ロスを少なくしたケーブルを形成することが出来るとされている。

PCUHD
高純度無酸素銅線
「PCUHD®」は、Pure Copper Ultra High Drawabilityの略称であり、厳選した原材料を 用い、介在物/不純物の混入を厳しく管理した工程にて鋳造した無酸素銅素材です。

特長
耐火物を一切使用しない鋳造工程と熱間押出・圧延工程を通さない後加工工程の組み合わせにより、 介在物・不純物を排除した量産可能な素材です。4N(銅純度99.99%)グレードの素材でありながら、「高い柔軟性」と「極細線まで加工可能な伸線性」という特徴を有します。
不純物の中で特に混入しやすい酸素についても、工程内でガスバーナーを使用せず、装置内部を不活性ガスで充填することにより、一般的な無酸素銅線の規格を下回る5ppm以下に抑えることに成功しています。

適用分野
音響用ケーブル、音響機器内配線材
含有する酸素量を抑えることにより、「電気信号伝達を阻害する素材内のボイド(気泡)/酸化物」の生成が少なくなります。
半導体接続導体用素材
介在物が少ないことで、狭ピッチ接続時に求められる極細線への加工性に優れます。

■C1011(102SSC)
C1011は無酸素銅の中でも最も高純度で、成分の規定が他の純銅とは一線を画す電子管用のものになります。不純物の種類も純銅とは異なり、明確に物質が指定されています。いわゆる4N(フォーナイン)、99.99%以上の純度が要求されるもので、機械的性質等の特性試験内容として、引張強さや伸び、曲げ、硬さ、結晶粒度、導電率のほか、水素脆性や酸化膜剥離性についても項目があります。

無酸素の名にふさわしく、酸素含有量が0.001%以下と規定されており、水素脆性も起こさず、高い導電率を持つ純銅です。もっとも、大気中で加熱されると、酸素が銅の内部に入ってしまうため、注意が必要です。規格上、形状は板、条、管、棒、線について定められています。

■タフピッチ銅 C1100
純銅の中では無酸素銅ほどの純度はありませんが、高い導電率と熱伝導率を誇ります。ただ、600℃以上に加熱すると水素が材料内部に残っている酸素と反応して、水蒸気を作り出し、これが材料に亀裂を生じさせる「水素脆性」があります。還元雰囲気での高温加熱や溶接、はんだ、ろう接には向きません。

展延性や絞り加工性、耐食性、耐侯性に優れた純銅で、Cu純度は99.90%以上です。ただ600℃以上に加熱すると、酸素と水素が反応して銅内部で水蒸気となり、亀裂を生じさせる水素脆化を起こすため、還元雰囲気で高温加熱するような使い方には向いていません。